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LOHAS WAY 18




マイケルさん
 
マイケル・グレンさん
プロフィール
2009年に広尾にオープンしたスジオ、YOGA TREEのディレクター。テキサス州出身。サンフランシスコの大学にて文学修士博士課程を終了。日本に生活の拠点を移行してからはランニングに没頭し、約10年間をマラソン・トライアスロン選手として過ごすものの、怪我をきっかけにアイアンガーヨガを始める。
固定概念にとらわれないスタイルを模索し続けるマイケルのヨガの方向性は、アクロヨガ、パートナーヨガ、ランナーズヨガ、アヌサラなど多岐に渡る。近年では陰ヨガトレーナーの第一人者、ポール・グレイリーに師事。瞑想法とプラーナヤーマにおいては古代中国史・道教など伝統的哲学にルーツを置くマスターとして、著名なエミール・ウェンデルの影響が大きくある。
初心者からヨガ熟練者、アスリートといった幅広い層の生徒達に指導を続けるマイケルのクラスは繊細な献身心にあふれている。どんなときも恐怖心を忘れさせ、子供の頃の冒険心をよみがえらせる彼のクラスは最近では、スタジオが定員オーバーしてしまうほどの人気ぶりである。
2005年 International Yoga Alliance 200時間認定指導資格取得。
現在もヨガスタジオを運営する傍ら、卓越した文芸の才覚を広告業界にて発揮し続けている。
 

Yoga Tree

 
Favorite Items
好きなモノを3つ、と言われてもあまり物に執着しない性格なのでこれも答えにくい質問です。すべてのものは移りゆく以上、何かを手にするというのは一瞬の喜びにすぎませんし、これがないと生きてはいけない、というこだわりはあまりありません。が、どうしても挙げなくてはならないとするならこの3つです。
 
マミさんのローマカロン
マミさんのローマカロンhttp://rawandbeautiful.blogspot.com/
U.S ローフードスクール、Living Light認定シェフのマミさんが作るマカロンが大好きです。お酒をほとんどたしなまないのですが甘い物が好きで、中でもココナッツ風味が豊かなこのローマカロンは食べた瞬間に思わず顔がほころんでしまいます。何度食べても飽きることはなく、満腹になるのにもたれることもなく、むしろスパに入った後のような身体の潤いを感じる逸品。 マミさんによるこのローマカロンやスーパーフードぎっしりのエナジーバー(エネルギーバー)はYoga Treeで一袋500円で購入できるのでぜひお試しを。
 
青汁とマヌカハニー
青汁とマヌカハニー
ここ一年近く青汁を飲んでいます。おかげでミネラルやビタミンがきちんと補給されているのか風邪や病気にかかりにくくなりました。起きぬけに青汁パウダーと水に天然の抗生物質と呼ばれるニュージーランド産のマヌカハニーを溶かして飲むのが日課となっています。風邪をひかなくなったのはマヌカハニーのおかげも大きいかもしれません。味はというと、人によって意見はさまざまでしょうが正直なところ非常にまずいです。でも効果があるのは確かです。ニュージーランド直輸入の高品質なこのマヌカハニーはスタジオでリーズナブルな価格にて購入できます。まずいものにトライしたいなら、青汁に混ぜて飲んでみてください(笑)
 
白檀のマーラー(数珠)
白檀のマーラー(数珠)
 
いくつものマーラーを持っていますが、たいてい手首に巻き付けてブレスレットにしています。邪気を払い、場を浄化すると言われる白檀ですが、数年がたち独特のウッディーな香りはほとんど消えてしまいました。しかしながら、身につけているときは気持ちが落ち着きますし、スタジオにいいエネルギーを運んできていくれるような気がします。 クラスを教えるときには身につけるようにしています。
 
Favorite CDs
 
音楽に囲まれた生活をしていますが、基本的にはお気に入りのアルバムというのは存在しません。というのも、日々気分によって聴きたい曲は変わりますし、クラスでも1枚のアルバムの中から2曲以上使うことはないので毎回プレイリストを作成しています。同じアルバムを繰り返し聴くということはまずないのですがが、あえて選ぶならこの3枚でしょうか。ただし、収録中のいずれかの楽曲を好きなだけであり、これらのアルバムを一貫して聴くことはありません。)
 
Penguin Cafe Orchestra
ペンギン・カフェ・オーケストラ
ジャンルを超越した1枚

イギリスのアコースティックな環境音楽グループによるアルバム、Penguin Cafe Orchestraが好きです。クラシック、ミニマル、民族、モダンなど様々な要素が入り交じり、ジャンルを超えた楽曲はどんなシーンで聴いてもあきることなく、月日がすぎても新鮮さを失うことがありません。 ギタリストでリーダーのサイモン・ジェフズが1997年に死去して以来、新曲が出ることはなかったのですが、2007年の没後10周年コンサートを機に再リリースされた時、懐かしさに思わず購入してしまいました。

 
サウンドトラック
MONSTER(BT)
クラスで使う悲劇のサントラ

アメリカで実在し、2002年に死刑となった元娼婦の連続殺人犯の生涯を映画化した「モンスター」のサウンドトラック。世界的美女シャーリーズ・セロンが13キロ増量し、義歯をつけて醜い娼婦役を演じきり、アカデミー主演女優賞の栄誉を手にしたことで話題となりましたね。 クラス中に使っていますが、おそらく多くの生徒にとっては、あれほど悲劇的な映画のサントラだとは思いもよらないことでしょう。
3曲目の「The Bus Stop」と15曲目の「The Courtroom」が気に入っています。主人公が、愛した女性に法廷で罪をなすりつけられ裏切られ、すべてを失ってしまうというそこはかとなく虚しいシーンの曲でした。しかし、どんな音楽も聴く人次第で印象は変わりますし、感傷的な旋律ですが、私にとっては内なる光を呼び覚ますような感覚をもたらす楽曲だと思っています。

 
ヨガとの出会い
 
ヨガと出会うまでの道のり
風変わりな遊技に触れた少年時代
 

子供の頃からスポーツが大好きでした。野球、テニス、バスケット、サッカーなど普通の少年なら誰もが一度はたしなむようなスポーツはもちろん、ちょっと変わったスポーツにものめりこみました。元はネイティブアメリカンの遊技だった*ハッキーサックや、ジャグリングなどにも夢中でした。父が教えてくれたこのジャグリングに大学時代は、セミプロの団体に所属して人生を賭けたほどです。そういうわけで、たまに日曜日に公園で生徒たちがアクロヨガを練習している傍らジャグリングをしていると、YOGA TREEは一体何を目指してるのですか?と聞かれることもあります(笑)

幼少より文学を溺愛していた私は大学では文学を専攻し、東洋哲学を副専攻しました。以前からインド哲学や仏教に興味を抱いていたのに加えて当時の教師がイスラム人のヨギだったことで、ヨガスートラ、バガヴァットギーターなど何冊ものインド古典を読破し、インド史やタントラ哲学などどっぷりインド思想に浸かったのもこの時期です。が、テニス部に所属していた私にとっては、依然としてヨガよりもテニス選手としてトーナメントに出場することの方に興味がありました。

 
走り続けた10年間
 
  ランニングに夢中だった90年代。
  ランニングに夢中だった90年代。寝ても覚めても気がつけば走っていました。
しかし日本に生活の場を移すようになってから、テニスコートを見つけることが難しくなったので、体を動かしたくてランニングを始めました。そしてランニングに没頭した私は、実に10年間をマラソンとトライアスロンの競技選手として走り続けました。一度夢中になるととことん突き詰めたい性格なのです。

1997年、ランニング中に発した怪我をきっかけに日本におけるアイアンガーヨガの第一人者、ラジェイ(Rajay)(http://www.rajay.org/yoga/tyc_j.html)のもとを訪れます。しかし、その頃のヨガは私にとって選手生活を維持するためのリハビリ的な要素でしかありませんでした。

本格的にヨガを始めるようになったのは、2002年のマラソン競技中に致命傷を負ってからのことです。

 
ヨガがもたらした新しい人生の光
 

長年にわたり蓄積したかかとへの負担は大きく、克服までは気の遠くなるような忍耐を要するものでした。しかし、継続的なヨガの鍛錬により徐々に回復の兆しが現れ始め、ついに医師による化学治療が完全にヨガ療法へと移行したとき、ヨガの中に新しい人生の光を見い出したのです。

2005年にインストラクター資格を修得して以来、いくつかの都内のスタジオで指導に携わってきました。自分自身の長年の生徒としての経験が、現在の指導者としての基盤となっています。それは、誰もが皆日々の変化する自分の体の状態を把握し、その日のコンディションに適した練習を重ねていく必要があるということです。

人によっては初めのうちは単純なストレッチがヨガかもしれません。しかし、練習を続けることで肉体を癒し、心を解放するというシンプルなプロセスの積み重ねこそが個人の純粋性を導きだす手段にほかなりません。肉体の自由により精神的な成長を遂げたとき、心の殻を突き破り、潜在能力を最大に発揮していくことができるからです。

 
心に宿る新たな情熱
 

人によってヨガにたどりつくまでに様々な道のりがあります。かつて何度もヨガと巡り会いながらも、わたしが本格的な鍛錬に目覚めたのは40歳を過ぎてからです。非常に湾曲した道のりでした。 師匠の一人であるエミール・ウェンデル(http://www.beyond-the-asana.com/)もおっしゃっています。「いろいろ教える頃には年寄りになってしまった」と。 しかし、すべての出会いにカルマがあるのではないでしょうか。怪我で挫折感を味わっていた時期にアーサナの練習を重ね、瞑想を続けることで新たな光を見い出すことができました。それにより走ることへの情熱の灯は、ヨガを通じて人と繋がることへの情熱の炎へと変わっていったのです。

*ハッキーサック リフティングの要領で、お手玉状の小球を主に足を使って空中に保ち続けるスポーツ。また、それに用いる小球。技の総合力を競うフットバッグ-フリースタイルや、バレーボールに似たフットバッグ-ネットなどの競技もある。1972年にアメリカで考案された。(参照:「大辞林 第二版」) 

 
自己表現革命 アクロヨガとの出会い
アーサナの向こうにあるもの
 
冬季と雨の日はスタジオで練習しています。  
冬季と雨の日はスタジオで練習しています。必要なプロップがそろったスタジオでの練習は快適ですが、スナックを食べながらのピクニックのほうが生徒には人気なようです。公園で練習していると子供やお年寄りが好奇心で集まってきます。  
初めてアクロヨガを知ったのは2006年で、日本ではアクロヨガがそれほど認知されてなかった頃のことです。その頃は本やインターネットの動画を参考にしながら自己流に練習を進めていましたが、アクロヨガ創始者のジェイソン&ジェニーのワークショップに参加したのをきっかけに、すっかりその魅力に取り憑かれてしまいました。

アクロヨガと聞くと、躍動的な動きを想像する方が多いのですが、これは単なるアクロバットではありません。そのルーツは1970年代初期にアメリカで生まれた『コンタクト・ヨガ』に逆のぼります。  

 
触れることこそ人間の本質的なコミュニケーション
 

ナタシバー・ケン・スコットが創始した「コンタクト・ヨガ」とは“触れる”という身体コミュニケーションを根底に、 お互いの力、重さ、意思を交感することによって、即興で動きを作り出していくというものです。

相手と呼吸を合わせ身を任せ、支え合い、筋力や運動神経、体型、性別に関わらず誰とでもパートナーを組むことができるコンタクトヨガは、ダンスの訓練や振付の手法としてのみならず、新しい自己表現方法を探求していくための療法としても広まりました。

今日のヨガスタジオではアーサナの練習ばかりが際立ってしまいがちです。もちろんそれはそれですばらしいことなのですが、ヨガの効用はもっと内的なもの、つまりエネルギーの波長を調和することにあります。  

  日曜日の午後に定期的に行っているアクロヨガの集い。
  日曜日の午後に定期的に行っているアクロヨガの集い。持ち上げているのは不慮のバイク事故により下半身不随となった仲間の一人で、ここ一年近く共に練習しています。(目黒庭園美術館公園にて)

アクロヨガやタイヨガなどのパートナーワークにおいて重要なのは、相手への敬意です。相手の呼吸を読み、身体状態を把握し、自分の呼吸を同調させていくということ、それは信頼関係に他なりません。与えることと受け取ること。人を尊敬して受け入れること。そしてその練習こそがヨガなのです。

ヨガの真意とは幸福に至るまでのガイドです。八支則とは社会に生きる我々がいかに他者と接していくかという指針にすぎないのであり、それを実践していくのがアクロヨガなのです。ヨガとは生きることそのものであり、喜びを他者と分かち合うことなしには、知識としてのニヤマ(勧戒)もヤマ(禁戒)も意味をなしえません。

いつも笑いの絶えることない練習光景。  
いつも笑いの絶えることない練習光景。通常クラスとは異なり、ここでは皆が交流を深め楽しみながら成長していく場となっている。  

春から秋にかけては公園で、冬はスタジオでほぼ毎週末アクロヨガの練習を行っています。熟練の生徒たちがいるので、全くの初心者でもうまくパートナーをみつけて楽しんでいます。技術的なことに関してはワークショップでもちろん学ぶことができるでしょう。しかし、それ以上に必要なのはコミュニティに交流の機会を与えるということです。アクロヨガを通じて実に多くのものを私は生徒から享受しました。それは深い愛情と思いやりを失わない心です。

 

 
YOGA TREEについて
大地に根を下ろし、枝を広げる成長の根源でありたい
 

ヨガとは繋がりであり、成長する木と考えています。どんな流派に属しているとか、どれだけのキャリアがあるとかは問題ではありません。皆、同じ幹に強い根を下ろし、枝を伸ばし支え合って生きていく仲間なのです。ヨガに生きる我々の成長の根源でありたいという願いから、このスタジオの名前が生まれました。

スタジオはギャラリーのように白に統一し、受付から廊下にはアースカラーを用いて、シンプルで落ち着いた内装にしました。広尾という立地を選んだのは自分のテリトリーだったということもありますが、場所柄国際的な情緒豊かなエリアなことが大きいです。生徒の比率は現在は外国人が75パーセント、日本人が25パーセントくらいでしょうか。

  朝日の射し込むスタジオでパートナーヨガを実践。
  朝日の射し込むスタジオでパートナーヨガを実践。一人では達成し得ない充実感と献身心に満たされたとき、アーサナが最も美しく開花します。

スタジオに訪れる人々からは、光がきれいとか、何度も戻ってきたくなるような雰囲気、とか好意的な意見をいただきます。「カリフォルニアみたい」とおっしゃった人もいました。実際にカリフォルニアで過ごしたのはほんの数年間なのですが、空が美しく開放感にあふれるカリフォルニアは私の愛した土地であり、嬉しい褒め言葉と思っています。

しかしどんなデザインを私が企画したにせよ、結果的にはここに集まる人々がスタジオに温もりをもたらし、優しさに満ちた空間を築き、そこに同じエネルギーを持つ仲間を呼び寄せているだけのことなのです。  

 
人種を越えて、国籍を超えて
 

国籍によって生徒にこのような傾向がある、という方がいますが、私はそう思ってはいません。クラスを英語でリードするので、言語による問題はもしかしたらあるかもしれません。おそらく多くのひとにとって、母国語で話すのと同じくらい外国語で自分を表現するのは難しいことです。しかし、すべての生徒を一つの個としてみています。あらゆる人に異なる個性と魂が宿るのであり、そこに国籍や性別、人種のくくりはないのです。皆一人一人が個であり、全ては一つなのです。

生徒の笑顔をみると一日の疲れも忘れてしまいます。  
生徒の笑顔をみると一日の疲れも忘れてしまいます。どんな栄養ドリンクにも勝る最高の特効薬ですね。レッスンの前後にここでロースイーツを購入する方も多くいます。  

ヨガとはもともと結合(Union)を表す言葉であり、人生を全身全霊で謳歌していく目的を持っています。肉体的、精神的、行動的、感情的な発達を養っていくためのツールにすぎません。指導者として私の役割とは、生徒に宿るその個性と可能性の潜在意識を鏡のように映し出すことなのです。やがては皆、各々に眠る個性を自力で昇華していく術を見つけていきます。言うなれば私は影のような存在なのです。影が自分の横に伸びるとき、人は改めて光源に気づくのですから。

(聴き手 石川 綾子)

 


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